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研ぎ澄まされた孤独

とりとめのない思考を無理に言語化した記録

『終戦のエンペラー』観てきました 2/2

 さて、フェーラーズはタカハシという通訳を連れて皇居前に行きます。強面の日本兵が門番として立っています。フェラーズは英語で「関屋と話がしたい、10分以内に準備しろ」とタカハシに命じます。"Tell him!" と。で、タカハシはめっちゃ焦るんですが、「この度は宮内のみなさまはご健勝のことと思われますことをお喜び申し上げます」みたいにフェラーズの言葉には無いことを言ってから「関屋様とお話をさせていただきたく、ご都合のよいときに機会を設けさせていただけないでしょうか」的な感じで門番に伝えたんです。このシーンは緊張感を高めるBGMが挿入されていて、僕もかなり注目していました。

 タカハシが上記のような日本語訳を話しているときは英語のサブタイトルが付いていたのですが、これはあの日本語訳の超丁寧かつ遠回しなニュアンスをアメリカ人観客に届けられているのかなあ、と思いました。字幕は一文が長かった上に切れるのが速く、全く読めませんでした。僕がアメリカ帰国子女で英語日本語の両方に堪能であれば、そのあたりを検証できたかもしれませんね……

 それでなんやかんやでフェーラーズは1対1で関谷と面会することを許されます。フェラーズは天皇の戦争責任について単刀直入に尋ねるのですが、関谷は「陛下はお気持ちを直接にはお表しにならないのです」と言います。大東亜戦争開戦を決定する御前会議では、天皇は御製をお詠みになりました、と。僕は初めて知ったのですが、御製とはそういう意味だったんですね。フェラーズが「それはタンカだな?(直球)」と確認したシーンが印象的でした。例の御製については、こちらに詳しく書いてあります→http://ilovenippon.jugem.jp/?eid=5

  

 まあ他にも紹介したいシーンはあるのですが(天皇とマッカーサーの対談シーンなど)、とにかく戦前・戦後間もなくの天皇が日本でどういった位置づけなのかを描写した映画だった、ということです。僕は実はこのように天皇について描かれた作品を見るのは初めてで、これほどに神格化されていた天皇像には衝撃を受けました。歴史の教科書に書かれていないことも知りました(天皇の影を踏んではならない、視線を合わせてはいけない、など)。そもそも天皇の戦争責任について日本のメディアが論じることがタブー視されているらしく、その所為で僕もこういった事実を知らなかったんですよね。でも「天皇 戦争責任」でググるとイデオロギーにまみれた意見も散見されるし、やっぱりかなりヘヴィな話題なんでしょう。その点、田原総一郎さんなんかは朝生で取り上げると言ってましたが(もう取り上げた?)。

 ところで自国の歴史についてアメリカの映画に教えられるというのはちょっとした屈辱というか(それは言い過ぎか)悔しい思いでしたね。これ、アメリカではどういう反応なんでしょうね。やっぱり今の天皇とはだいぶ扱いが違うから、驚いたんじゃないでしょうか。映画館で僕と臨席したおじちゃんは何を感じたんでしょうかね。

 

終戦のエンペラー 陛下をお救いなさいまし (集英社文庫)

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