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研ぎ澄まされた孤独

とりとめのない思考を無理に言語化した記録

2014年12月30日冬コミc87・3日目の感想

   相変わらずカタログを買うこともなく、ふらりと国際展示場に行った。前日にpixivでフォローしている絵師さんのサークルをチェックし、pixivで地図をダウンロードし、大した準備もせずに8時半頃家を出た。
   結果から言うと、iPhoneにメモしておいた8サークルのうち4つしか回ることができず、1人で戦うことのむなしさを感じた。やはり始発+ファンネルを操る歴戦の猛者にはかなわない。

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   ところで今回は総計8000円ぐらい使った。全部薄い本だ。そして殆どが衝動買いである。というのは目当てのサークルが完売していたというのもあるが、最近たまたま金回りが良く、何か買いたいと思ったからだ。バイトの給料が高かったために、その金によって消費の欲望を駆動されるあわれな大学生がそこにいた。
   というわけで、艦これ本や甘ブリ本を中心に島を巡り、場内の混雑がややましになったあたりから壁に沿って歩いた。

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「見てもいいですか」と一言断ってから見本を読むのだが、ここで僕が注目したのはシコリティの高さ、これだけであった。
   僕は最近、欲望について変に考えていた。たとえば初音ミクは今のオタクなら誰もが好きなキャラクターだと思うのだが、彼女は徹底的に記号的であり、同時に徹底的に文脈遊離的な存在だ。初音ミクを構成する要素は図像と声だけである。公式のラノベやアニメのストーリーが彼女を支えることはない。したがって初音ミクの内面は透明であり、ユーザーたちの嗜好によっていかようにも加工することができる。
   そのような「透明な存在のミク」をほぼ透明なまま、すなわち明確なプロットが存在しないMMD(ミクミクダンス)などといった形に落とし込んだ消費の仕方は、動物的な欲望、さらに直接的に言えば性欲と不可分に結びついている。それを示すように、ニコニコ動画には「運営のお気に入り」というタグが付与された明らかにポルノ志向のMMD動画がアップロードされている。

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   物語や文脈といった小さな物語に固執することなく、キャラクターの保有するデータベースのみを参照し、動物的にふるまうオタクたちの姿が、MMD最盛期にはみられた。
   コミケ会場にも同様の傾向があると思う。ノボリとポスターの絵がいかにエロいか。エロくなければ、まず見本を読まない(僕だけかもしれないが)。ストーリーは気にしない。どのサークルの同人誌も基本的にはオーラルセックス→セックス→射精で筆者のあとがきに突入する。わずか10数ページのものが殆どだ。となれば、図像のクオリティに注目せざるを得ない。

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   先ほど「艦これ本や甘ブリ本を中心に」と書いたが、実は僕は艦これをプレイしたことはなく甘ブリを見たこともない。つまり徹底的にキャラの図像のみに関心を持ち、購入を検討していた。それゆえ僕の視線においては、愛宕やいすずにあったであろう固有の物語は完全に剥落し、官能的データベースのみを読み取っていた。

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   それがいいことなのか悪いことなのかは分からない。けれども確かなのは、僕だけじゃなくて多くの参加者たちが、そのような消費の欲望によってコミケの市場を循環させ、その文化的価値を維持しているということだけだ。