研ぎ澄まされた孤独

とりとめのない思考を無理に言語化した記録

都内に多数存在する「松の湯」を巡る旅

 

※最新更新日2020/1/18

 

アップリンクで上映されていた映画「メランコリック」は東大卒のニート青年が銭湯でバイトを始めるもその銭湯は夜な夜な風呂場で殺し屋が殺しを働いておりそれを目撃してしまった主人公も殺しの手伝いをすることになってしまう……というストーリーだが、その銭湯の名前が「松の湯」という。で、どこの松の湯なのだろうと思いGoogle マップで検索してみたら、都内で10軒ぐらいヒットした。

 

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僕の松の湯を巡る旅が始まった。

 

【11月24日】

松の湯

品川区西五反田6-18-3

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品川図書館五反田館の裏のほうにある。住宅街。

コインランドリーが併設されていて、帰り際に使う人も見かけた。
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19時半ぐらいに入浴。客は数人。高校生ぐらいの子たちもいたけど大人しく湯に浸かってた。

これといって特筆することのない風呂場。3つの湯船があり、普通の湯、ジェットが壁から斜めに出てる湯、床から泡が出てる湯に分かれていた。1つはなんかこの日が東京なんちゃら湯の日みたいなので、スペシャルエディションらしかったのだが、いったい普通の湯となにが違うのかさっぱりわからなかった。温度はまあまあでいずれも同じだと思った。シャンプーとハンドソープは備え付けのがあるが、めちゃくちゃ水で薄められているため注意が必要だ。

トイレは脱衣所の外にある。ガラス戸を開けて縁側を渡る必要があるのだが、中庭がなかなか綺麗だった。すごく狭いのだが、池っぽいものとかがあり、いい感じだった。大人460円。

 

【12月8日】

松の湯

世田谷区奥沢4-24-2

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最寄りは目黒線奥沢駅。奥沢の近くの自由が丘駅からも遠いけど行けなくはない。ぼくは自由が丘という街に行ったことがなかったので、散歩したいと思い、五反田から池上線で旗の台に行って大井町線に乗り換え、自由が丘で降りた。

奥沢周辺は静かな住宅街だ。
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あんまり楽しい街ではない。が、自由が丘が近いから不自由はしないのだろう。

18時ぐらいに入浴。客の入りはまあまあ。互いに顔見知りの客が多く、おしゃべりしながら身体洗ったりしてた。

風呂。基本は前の松の湯と似た、というかまったく同じ内装だった。風呂桶の形も同じ。松の湯ってもしかしてチェーン店なのか。湯の温度がかなりぬるいのが特徴。シャワーもぬるい上、水勢が弱い。シャンプーは薄められていない。

脱衣所にはサラリーマン金太郎などの漫画がちょっとだけ置いてあった。これはいいのかもしれない。トイレは和式だった。大人460円。帰りに自由が丘を散歩したけど、ここは楽しそうな街だなあ。ベンチがそこらへんに設置してあるのが治安の良さを感じる(ホームレスとかがいないということだろう)。

 

【12月15日】

松の湯

板橋区志村3-28-6

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最寄りは目黒線志村三丁目。聞いたことねえ街。荒川の景色を見たかったので、浮間舟渡から荒川沿いを歩いて南下してきた。めっちゃ時間かかった。

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しかし、何にもない街。大昔、練馬に住んでいたときのことが思い出された。僕はこういう、なんか……こういう街が苦手である。ロードサイドというか。

下駄箱、即、番台、ではなく、待合スペースみたいなのがあり、わりと充実していた。まあただ机と椅子、テレビが置いてあるだけだが。

17時ぐらいに入浴。ジジイがいっぱいいる。身体洗い場がせまいのでなんか気のせいかもしれないが加齢臭が漂っているような……備え付けのシャンプーはあるが、人が多くて使えない。風呂は広い。だが湯が熱い。44度ぐらいある。露天風呂の部屋というのがあるが、たんに上の方の窓がちょっぴり開いていて冷気が入ってくるだけ。まあそれでもないよりマシ。というか、室内風呂が熱すぎてのぼせてしまうので、これはかなり重宝すると思われる。

大人470円。僕は苦手なので入らなかったがサウナも併設されており、こちらは料金が300円。ただし風呂とセットだと700円。しかしこういう風呂屋でサウナ単品で入る人なんているのかな。

 

【2020年1月12日】

松の湯

品川区戸越3-23-15

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最寄りは浅草線大井町線中延駅。立派な屋根は遠くからも目立つ。ちょっとした屋敷みたいになっているが、最近作られたのだろう、綺麗な色をしているので、逆にチープにも感じられておもしろい。

風呂に入る前に中延駅周辺をちょろっと歩いた。ユニクロがあったり、松屋やらブックオフやらラーメン屋やら銀だこやらいろいろあって賑わっている。暮らすのには不自由ないだろう。ザ・町。東急沿線はどこも住みやすそうだ。

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15時半ごろに入浴。客の入りは40%ぐらい?  設備が充実していて、ジェットバス、泡バスがメイン風呂としてあり、薬湯、露天風呂、サウナもあった。備え付けのシャンプー・ボディソープはいろいろあって選べるのがよい。お茶エキス入りの緑色のやつを使った。メイン風呂はけっこう熱い。あんまり長居はできない。露天風呂はちょうどよかった。中庭がきれいに手入れされていて、鑑賞しながら湯に浸かるのはいいものだった。まあ、裸眼なのでぼんやりとしか見えないのだが。ベンチもあるのでそこで涼むのもよい。中庭には灯籠みたいなのもあり、夜は明かりが灯るのだろうかと想像する。室内に戻り薬湯へ。どぎついパープルピンクの湯。コラーゲンが含まれているらしい。肌がすべすべしたし、なにより適温でちょうどよかった。風呂は470円でサウナは別料金。サウナは気分じゃなかったので入ってない。しかし風呂だけでもだいぶ満足できるだろう。
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帰りは荏原中延商店街を通って荏原中延駅から帰った。商店街ってこれまでの人生で馴染みがない。だが、住む町に商店街があると便利なんだろうなあと最近思った。パンの焼ける匂い。駅前から見えた夕焼けがなんというか、ちょうどよかった。背の高い建物がないとこんか感じになるんだな……と。

 

【2020年1月19日】

ニュー松の湯

江東区東陽3丁目12-11

 

木場駅から徒歩5分ぐらい。小雨が降っていて凍える寒さだった。そんななか、なかなか特徴のある湯を提供する風呂屋があった……

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半地下になっており、数段の階段を下りる必要がある。歩行器に捕まるおばあさんが下りるところだったので、横から避けて入店。浴場は割と狭い。先客はおじいさんが2名だけ。シャンプー・ボディソープは、名前は知らないけどよくある見かける、ピンクのシャンプーと緑のボディソープのやつ。でも数が少なくて、4セットぐらいしか置いてない。おじいさんの背中が赤くなっていてどうしたんだろうと思いつつ入湯。熱い! めちゃくちゃ熱い。足を入れるのもきつい。体内の水分子がぐるぐる動いている……電子レンジに入れられてるみたいだ。両脚を膝まで入れるも、それ以上浸かることが不可能。1.2分して出て、クールダウンした。湯船は正方形のものがたったの2つ。もう一方の方に足をつけてみる。熱い! アホか。どっちも同じ温度じゃねえか。たぶん45、6度はある。昔長野の温泉で46度の湯に入ったことがあるのでわかる。おじいさんが「あーっ、あーっ、あーっ」って言いながら入湯して、ものの30秒ほどで出て行った、その気持ちがわかる。しかし身体だけ洗って帰るのはあまりにもったいなさすぎる。がんばって腰まで浸かって1.2分いると、だんだん慣れてきた。いや、熱いんだけども。体の内側がひりひりするんだけども。でも、これならいけるかと思い肩までつかった。うん、大丈夫だった。でもどう考えても長居はできない。女湯から子供の声が聞こえる。こんな熱湯に子供が入れるわけがない。そそくさと退散した。脱衣所で鏡をみると体が真っ赤になっていた。火傷だよこれ。二人組の若者が服を脱ぎながら「こういう街の銭湯に来るの初めてだわ」と言っていた。初めてがこんな湯でトラウマにならないだろうか。彼にはいろんな銭湯に行って欲しい。しかしさっきの歩行器につかまったおばあさんもこの恐ろしく熱い湯に浸かっているのだろうか。信じられない。歳を取ると熱さを感じなくなるのだろうか。感じなくなったとはいえ、体は脱水するわけだし、危険だと思うが……

風呂屋を出て、近くのラーメン屋に入った。
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二郎系。麺の太さを選べるのが特徴で、僕はふつうのにした。太麺を選ぶとうどんみたいな太さのが出てくるらしい。スープの油がめちゃくちゃ多くて、油の層の厚みがかなりある。レンゲが、洗ってはいるのだろうが色素沈着していて汚い。卓上にカレーパウダーがあるので味変が可能。
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そうかこんな湯もあるんだな……最初は後悔したけど、最後の方はなんとか肩まで浸かることができてよかった。しかしそれは達成感でしかない。満足感はない。この湯をリピートしている人は何者なのだろうか。

 

【2020年1月25日】

松の湯

八王子市小門町20

 

おそらく都内最西端の松の湯。旅費もかかる。五反田からJRで八王子まで720円、駅から最寄りまでバスで189円。往復2000円ぐらいかかる。ここに来る前に八王子をぶらぶらしていたので、訪れたのは20時ごろ。

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綺麗な感じ。裏側には駐車場があり、ちょっと離れたところからもお客が来ていると思われる。
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デジタルサイネージもある。

まさかの券売機があり、そこで大人とか子供とかサウナありとか貸しタオルとかを選び、番台に渡す。朝井リョウに似た元気なお兄さんだった。

リニューアルされたばかりということもあり、とてもきれい。まず目の前にジェットバス、ゆったりバス、水風呂の3つの湯が平仮名の「に」みたいな形で配置されており、湯船を取り囲むようにして体を洗うスペース……なんていうんだあれ? 蛇口とシャワーがあるやつ、が並んでいた。蛇口もきれいで錆がない。シャワーが、ふつうの銭湯だと30秒ぐらいで切れるところ、1分ぐらい噴射し続ける。シャンプー・ボディソープは2席に1セット間隔で置いてある。柚子の香り。よい。室内風呂は混んでいたので露天風呂に行く。岩造りの風呂。漢方の湯、みたいなのが張ってあった。変な匂いがするけどいい。この日はそんなに寒くなくて、ぬるめの湯とちょうどマッチする気温だった。隣で小学2.3年の子供が父親に「カチカチ山をモデルにしたゲームで、第3形態がすごく難しいの」などと喋っていた。室内にもどる。細長い長方形のゆったり湯に入る。水深は浅め。みんな短辺に足を伸ばして感じの「目」みたいに並ぶ。これがとてもよかった。ぬるめの湯なのでのぼせない。僕は身長175センチだが、縁にタオルを置いて頭を乗っけるとちょうど足の裏が反対側にくっつく。のびのび伸ばせて、天井をぼんやり眺める。暖かい。これがたいへんリラックスできた。きもちいい。よくみるとこの浴場、あんまり蒸気がこもらない。天井が高いこともあるが、換気扇が強力なのだろうか。視界良好。この湯でぼんやりした後、ジェットバスに入る。入って気づいたのだが、ジェットバスには仕切りがあり、3つのユニットに分かれていた。それぞれ下の方から噴射するもの、脇と背中から噴射するもの、足裏とふくらはぎに噴射するもの、と役割が違っており面白い。これは楽しめた。なかなか工夫されている。

子供連れが多くて雰囲気もよい。若者だけの客というのはいなかったが……しかしいい湯だった。サウナは入らなかったが、この感じだときっとサウナもよい工夫がされているのだろうと思う。

さらにこの松の湯のすごいところ。2階に漫画コーナーがある。そんなに広くはないが、きれいな漫画が並んでいる。ラインナップはドラゴンボールとか北斗の拳とかではなく、ヒナまつりとか君に届けとか、まあまあ最近のものが置かれていた。たぶん子供連れに来て欲しいと思ってセレクトしてるんだと思う。そういうところに、この松の湯の良さが表れているなあととても感心した。それも含めてとてもいい湯だった。近くにありさえすれば確実にリピートしている。料金は東京都浴場組合のカルテルに則って470円。もっと払ってもよい。

せっかくなので八王子ラーメンを食べようとしたが、有名なところはもう閉まっていて(土曜の夜なのに早くね?)、なんか日高屋的な中華料理屋に入ってしまった。f:id:liefez:20200126141144j:image

ラーメンが390円、生が390円。いちおう刻み玉ねぎが入っているので八王子ラーメンの要件は満たしているのだろう。ただ、これで八王子ラーメンを食べたという感じにはならなかった。

しかし八王子、最後に来たのはいつかわからないけど、というか初めて来たような気さえするが、けっこう賑わってるんだね。駅前のくまざわ書店、選書のセンスが知的な感じがしてよかった。ここに通えばあたまが良くなる気がする。
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で、荒川方面に行くと住宅街ばっかりでひっそりしているのも、それはそれでいいと思った。同じ荒川でも、東京の北のほうよりは温かみを感じるよ、なぜかわからんけど。
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iPhoneが補正しすぎ。